最長試合!落合監督、勝つまでやる

2010/11/7 9:35 配信 デイリースポーツ

 「日本シリーズ・第6戦、中日2-2ロッテ」(6日、ナゴド)
 日本シリーズ史上最長となる5時間43分の死闘は、シリーズ史上初の延長十五回引き分けに終わった。2‐2のまま03年以来となる1シリーズ2試合目の延長戦に突入。中日は再三のサヨナラの好機を生かし切れなかった。対戦成績はロッテの3勝2敗1分けで、8日の第7戦にロッテが勝てば、5年ぶり4度目(前身の毎日時代を含む)の日本一となる。
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 日本シリーズ史上最長試合。5時間43分の死闘。王手をかけられ、退路を断たれた落合竜。必勝継投が乱れ、逆王手をかけることはできなかったが、シリーズ初の15回に及んだ熱戦をドローで逃げた。息はつないだ。夢も生きている。
 「負けたら終わり。負けられる試合と、負けられない試合では、投手のつぎ込み方が違う。ウチは3敗してるんだから、どんどんつぎ込む。だから明日も変わらない」。負けなかった。落合監督は希望を総力戦に投じる決意を示した。
 鉄の魂をオーダーで示した。5試合連続のスタメン変更。第5戦で先発を外した16打数連続無安打の“逆シリーズ男”の井端を先発に戻した。前日の全体練習後、35分間の志願特打を敢行したオレ竜野球の申し子の底力と意地にかけた。コイツはやる‐。オレ流カンピュータがささやいた。
 将の読みは当たった。六回、1死。待望の糸が二遊間を破る。シリーズ初安打。2死後、ブランコが右翼フェンス直撃の勝ち越し適時二塁打。井端の背中を照らした光が、竜の生きる道を広げた。
 「このままでは終われない。絶対にやり返す」。4日の試合後、知人からの激励メールに、そう返信した。地に落ちたプライド。泥水を飲まされた悔しさ。グチを言っても始まらない。体を突き動かすことで、心にたまった毒素を吐き出した。
 だが、勝利の方程式を担う浅尾が八回に崩れた。九、十、十一回には、3イニング連続で送りバント失敗。逆に十二回には、無死一塁からの強攻策が併殺打。歯車は完全に狂った。それでも何とか引き分けを拾えた。野球の神様は再戦を指示した。
 「明日から、また2試合できるように、全力で頑張ります」。井端の口調が熱を帯びた。初安打で傷口の痛みは治まったが、納得できるはずもない。狙うは連勝の逆転日本一。人生最大の苦しみを味わった男が、反撃の旗印になる。